| 例年にない寒波に見舞われました厳しい冬もやっと終わりを迎え、今年も目覚めの春が巡って参りました。 今日この佳き日に、深葉女学院高等部を巣立っていかれるお姉さま方、ご卒業おめでとうございます。 在校生一同、皆さまのご卒業を心よりお祝い申し上げます。
今、お姉さま方の心に過るのはどのような思いでしょうか? この三年間にご経験なさったたくさんの出会い、絆、思い出、そして、今後歩いて行かれる未来への期待と不安。 きっと、いろいろなお気持ちをいっぱい抱えていらっしゃると推察いたします。 わたくしたち在校生もまた、お姉さま方へのさまざまな思いを胸にここにおります。 ――わたくし、ここまでは、とっても上品にお嬢さまらしいのではありませんこと? さすがわたくしですわね! さぁ、このまま進めば問題ありませんわっ! 最後までこの調子で突き進みますわよ!
初めて高等部に来て右も左も分からぬわたくしたちに優しく接し、未知の生活への不安を払拭する手助けをしてくださいました。 ――あぁ、ごめんなさいませ。初っ端から嘘をつきました… わたくしは大きな顔をしていましたわ…右も左も分からない純真無垢な子羊に交じって… で、ですけれど、大勢の真っ白な子羊たちに交じっているほんのり灰色の羊はきっと目立ちませんわよね? この頃はまだ黒ではなくほんのり灰色でしたし、わたくし以外にもちらほらと灰色の羊はいたはずですし、 たぶんワンポイントのアクセントのようなものですわよね! 部活動や寮対抗戦の際には、弛まず地道に練習を重ねることの大切さをご指導いただきました。 深葉祭では、皆で協力し、一丸となって、何かを成し遂げる素晴らしさや喜びを教えてくださいました。 ――「四葉の皆さま主催企画では、深葉生はこうあるべきという真髄を見せていただきました。」 なんて続けて申し上げても宜しいでしょうかしら? 真実なのですけれど、世の中には、たとえ衆知の事実でも、言わずに済ませた方が良いこともありますのよね? ……悩みますわ……え?辞めておいた方が良い? わたくしの心の非常ベルが鳴っておりますのでここは削除ですわね…… 何気ない日常の一コマ一コマでも、思いやりとユーモア溢れる薫陶を受け、わたくしたちはこんなに大きくのびのびと成長することができました。 ――ここで具体例として悠生と鹿ノ子のドヤ顔の写真を大きく映し出したいところですわ! 卒業式にプロテクターを持ち込んでも宜しいものでしょうかしら?…え?プロテクターが分かりませんの?映写機ですわ…え?それはプロジェクター? ……ちょ、ちょっとしたミスですわ!心配なさらずとも、盗んだバイクで走り出したりも、野球の審判もしませんわ。 え?普通ならばしそうもないことを、いきなりしそうな気がする…? …こ、困りましたわ…反論できませんの…わたくしの良心のくせにツッコミが的確ですわ。 …え、えへ?何とか笑ってごまかしましたわ…ふぅ。 お姉さま方から受けました教えの一つ一つは、全て妹たちの宝物です。 ――お姉さまがわたくしにくださった言葉の一つ一つは、わたくしの宝物ですの!!声を大にして深葉の中心で叫びたいですわ!!
これから、お姉さま方はそれぞれの道を歩いて行かれます。 長い道のりの間に、つまずいたり、心が折れそうになったりすることもあるでしょう。 そんな時はどうぞ、高等部を、そして、わたくしたちを思い出してください。 ――わたくしは両手にポンポンを持って、お姉さまを全力で応援しておりますわ! お姉さま方が深葉女学院で学んだことや培った絆は、お姉さま方の心にいつも息づいているでしょうし、わたくしたちはいついかなるときでも、お姉さま方を応援しております。 わたくしたちも、深葉女学院の伝統を引き継ぎ、お姉さま方の後を追い掛け、追い越せるよう日々精進していく心積もりです。 どうぞ大船に乗ったつもりでお任せください。 ――ここでプロ…ジェクターを使うことができましたら、みやびの笑顔の写真を大きく出すところなのですけれども! できないのが歯痒いですわ…
最後になりましたが、これからのお姉さま方のご健康とご活躍をお祈りし、送辞の言葉とさせていただきます。 ごきげんよう、お姉さま方。 いつも、いつまでも大好きです。 ――お姉さま、愛しておりますわ!! あぁ、心の声が駄々漏れてしまいましたの。 節制。
悠生、みやび、鹿ノ子、送辞が完成しましたわ。 ご確認くださいませー。
文章だけならば正統派のお嬢さまっぽくありません?(やり切った感)
完
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